月別アーカイブ: 2013年5月

前回、純利益がなければ譲渡所得について課税されないとの記事を投稿しましたが、今回は個人資産を同族会社へ譲渡する場合の譲渡所得税対策についてのお話です。

たとえば、個人事業主が法人成りとなった場合、個人名義の建物を法人名義にしたいとします。こういった場合は、法人への建物売却代金を時価とし法人に売却するという方法で、個人に純利益が出ないよう譲渡するのが最も節税となります。

では、時価とはどう設定すればよいのかということが問題となってきます。この場合、たとえば、建物の未償却残高を時価とする場合や、固定資産税評価額を時価とする場合などが考えられ、このうちどちらか高い金額の方を時価とするのが無難なようです。更には、所有者の住所を管轄している税務署に相談に行くのが最も確実です。その場合は、事前に税務署に電話で相談の予約をし、建物を入手した時の金額が分かる書類(新築の場合は請負契約書等・建物を購入した場合は売買契約書等)を持参しましょう!

 

賃借人が破産した場合どうなる?

① 賃借権を売却(譲渡)して換価できる場合や事業継続のために必要であるような場合を除いて、賃借人の管財人は早期に賃貸借契約を解除するでしょう。

②管財人が解除して賃貸物件を明け渡す場合、管財人は物件の原状回復義務を負います。

③管財人が明け渡した場合、未払いの賃料や損害金、原状回復費用を控除して清算し、残りがあれば、管財人に返還することになります。

④未払いの賃料や損害金、原状回復費用あるいは残置動産の撤去費用など敷金から控除すべき債務が大きく、敷金を超えてしまう場合には、早急に管財人と協議し、現状有姿での引渡しを認めたり、原状回復費用を減額したり、あるいは破産者が法人の場合は代表者に動産を撤去させることにするなどして、管財人と早期に和解し、できるだけ早く物件の返還を受けます。

⑤いずれにせよ、賃貸人としては、賃借人の管財人から現状有姿での明渡し(内部の動産の所有権を放棄)を受ける場合には、管財人に対してリース物件がないように確認・要請する必要があります。

譲渡所得税 計算方法

総収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)} × 税率 = 税額

取得費とは:資産取得に要した金額(売却した土地や建物を購入したときの購入代金、建築代金、登録免許税、不動産取得税等)と設備費・改良費との合計額になります。
譲渡費用とは:不動産業者に対する仲介手数料、登録免許税の他、立退き料や家屋の取壊費用などが譲渡経費とされます。但し、譲渡資産の維持管理費用(修繕費等)は含まれません。
{総収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)} の部分が譲渡取得(純利益)ということになります。
税率とは
短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で、所有期間が5年以内の場合 → 30%
長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で、所有期間が5年を超える場合 → 15%
すなわち、総収入金額(売却代金)から取得費(買った時の価格)と譲渡費用を差し引くことにより純利益を求め、これに一定の税率を掛けて税額を求めます。したがって、純利益がなければ課税されないのです。